志津川で2個体のオコゼカジカを見ましたが、オコゼカジカの眼は
「キラキラとオレンジ色に光る不思議な目」で、どうなっているのか知りたかった。
ので、今日の撮影テーマは「オコゼカジカの眼はどうなっているか?」です(^_^;)
今回初めてオコゼカジカの眼をマクロ立体写真で撮ることができたので、
オレンジ色に見える目の構造が解りました。
(1)オコゼカジカ 3D立体写真・交差法 (左クリックで拡大)
オコゼカジカは何故か黄色いカイメン(ナミイソカイメン)の上にじっとしています。
眼の下から角膜を通って眼の上の眼上皮弁まで、1本のオレンジのラインが入って
いるように見えます。
(2)オコゼカジカ 3D立体写真・交差法 (左クリックで拡大)
(3)オコゼカジカの眼 3D立体写真・交差法 (左クリックで拡大)
立体視で見るとオコゼカジカの眼は、
透明なドーム状の角膜の角膜実質層(厚み1mm以下)の中に、不透明なオレンジ色の
「色素胞」 (色を持った小さな塊の意で使っています)が高密度で点在しています。
色素胞は角膜より内側の組織(房水、水晶体など)にはありません。
上の写真を拡大しないで平行法で見てみると擬似的に目の内側から覗いたように見え、
外側に張り出したドーム状の角膜内に色素胞が点在しているのが解ります。
(4)オコゼカジカの眼の角膜にある色素胞の位置
角膜の断面を図式化したものです。
眼のレンズとなる角膜は透明ではなく、角膜内に不透明な色素胞が点在しています。
もしあなたがメガネをかけていたら、レンズ面にオレンジ色のペンキで点々を書いた
状態で見ているようなものです。
眼の角膜はレンズの役目を持つ(水中では目の保護が優位か?)ので透明である
のが条件(最良)と思っていましたが、オコゼカジカの眼は角膜の中心部で10~20%、
周辺で50%ぐらいの面積が不透明なオレンジ色の色素胞で占められています。
こんな変わった眼は、陸上・水中の他の生物では聞いたことがありません。
オコゼカジカの眼は、何かの目的があってこのような変わった眼をしているはずです。
どんな目的でしょう? 思い付くものとしては
1,カラーフィルターの機能
オコゼカジカは黄色いカイメンの上で擬態(保護色)しています。
オレンジ色のフィルター効果で、黄色いカイメンが際立って見えて探し易い効果でも
あるのでしょうか?
でも、解像度が落ちでぼやけた見え方になるような気もします。
どんな風に見えているかはオコゼカジカに聞かないと解りません(^_^;)
(※魚は色盲ではなく色が判別できるようです)
2,目の下から眼上皮弁までオレンジ色の1本のラインに見えることで、目の位置が
解らないようにして、眼を持った魚に見えないように擬態している。
3,単なる突然変異で、視力が落ちても暗い水中で困らないから、この形で生き残った。
又、角膜にある色素胞のでき方を考えてみると
角膜自体に色素胞を作る機能があるのかどうかは検索で調べても見つかりません
でした。
又、角膜には血管も無いので血の塊なども違うでしょう。
写真を見ると、角膜の中心部と眼の上下に入るラインの直角方向は色素胞の密度
が低いように見えます。
もしかしたら角膜内の色素胞は、目の周りの皮膚のオレンジ色の色素が皮膚と角膜
の接合部から透明な角膜実質層に押し出されて溜まったものでしょうか?
そう考えると、上下の濃いオレンジ色のライン部近傍の角膜は押し出される色素胞の
数が多いので密度が高く、角膜の中心部は押し出されるのに距離があるので密度が
低いと考えるとつじつまが合います。
と妄想してみましたが、本当のところはワカリマセン。
オコゼカジカの孵化まじかの卵や稚魚、幼魚を見る機会があれば、角膜の色素胞
が孵化する前からあるのか、又は成長とともに増えていくのかが解るはずです。
次にGruntSculpinさんの臼尻や志津川にダイビングに行く機会があったら、
オコゼカジカの稚魚か幼魚をリクエストしてみたいと思います。
自分で探すのは無理なので(^_^;)