「NHKクリエイティブ・ライブラリー」のフリー素材の「すばる望遠鏡天体映像」からコンポジットによる高画質静止画を作ってみました。
この天体映像はNHK が開発した超高感度ハイビジョンビデオカメラ(Ultra-high-sensitivity HDTV I.I. color camera)で撮影されていて、
国立天文台HPで国立天文台が加工処理した高画質静止画像も公開されています。
今回のテーマはフリー素材の低画質天体映像から、国立天文台公開の高画質画像にどこまで迫れるのか?です。
(私は天体写真をやったことが無いので、コンポジット合成も今回初めてやってみました)
1)もとになる天体映像
有名な?「ウルトラマンの故郷 M78星雲(NGC2068) の映像」を選んでみました。
ダウンロードした映像の仕様は
MP4,フレームサイズ=1280x720、29.97フレーム/秒、2795kbps
下の画像は、1フレーム目をキャプチャーしたものでかなりノイズがあります。
図1、M78星雲 映像の1フレーム目をキャプチャ
2)映像からコンポジット合成で高画質化したもの
実際に使用するビデオフレームはズームで大きさが変わる前の 0~14秒で、総フレーム数は
420枚(14sx30f/s)となり、この420枚でコンポジット合成を行います。
コンポジット合成は、ビデオを「ビデオフレームからレイヤー」で420枚のレイヤーに重ね、
32bit演算で「覆い焼き(リニア)-加算」で疑似コンポジット合成を行います。
(※詳細は、4)に記述)
下の画像は、420枚コンポジット合成、レベル調整、アンシャープマスク処理したものです。
図2、M78星雲 映像からコンポジット合成で高画質化したもの
ノイズがほとんどなくなり綺麗なM78星雲になりましたが、国立天文台の画質と比較してみないと、
どこまでコンポジット合成の効果があったかわからないので下図3と比較してみます。
3)国立天文台で加工処理した高画質画像
図3、国立天文台で加工処理した高画質画像(小さい画像975x650を使用、無加工です)
M78 (散光星雲) すばるギャラリー © 国立天文台
私は天体写真をやったことが無いので細かい評価はできませんが、かなり再現できたと思うのですが?
映像、画像の出典:下記をもとにR1が作成。
図1,2
NHKクリエイティブ・ライブラリー
http://www1.nhk.or.jp/archives/creative/material/
散光星雲 M78星雲
D0002050541_00000_V_000.mp4
図3
国立天文台すばるギャラリー
超高感度ハイビジョンカメラによる天体画像 ページ 1
https://subarutelescope.org/old/Gallery/j_hdtv_1.html
M78 (散光星雲) m78_s.jpg
4)Photoshop Cs6 を使った映像フレームからのコンポジット合成。
使用したソフトはPhotoshop Cs6 でExtendedではないのでコンポジット合成がコマンドでできないため、
「覆い焼き(リニア)-加算」を使用した疑似コンポジット合成を行っています。
1,元の映像からズームや回転が無く、画像位置の変化がない部分を切り出し、
QuickTime-未圧縮でビデオ出力(mov形式で無圧縮)
2,そのビデオを「ビデオフレームからレイヤー」で読み込みレイヤーにスタック。(MAX500)
3,最下段に空フレーム挿入し黒で塗りつぶし、グループ1に入れ子
4,レイヤー1~420をグループ2に入れ子
5,グループ2の下(レイヤー420の上)にレベル補正挿入。出力レベルHを80(仮で要調整)に設定。
6,レイヤー1-420を選択し、「覆い焼き(リニア)-加算」
(画面が飽和するが32bit変換時に戻るので気にしない)
7,レイヤー1-420の不透明度を1%(レイヤー数が少ないときは上げる)
8,グループ2をコピー(グループ2のコピー)
9,(グループ2のコピー)のレイヤー順を逆に並べる(1-420→420-1)
10,(グループ2のコピー)の上にグループ3を挿入しレベル調整を入れ子(まだ調整は不要)
11,レイヤー、レベル補正の準備ができたら、イメージ-モード-32bit にする。
この時レイヤー結合しない、を選択。
(32bit処理の準備に長い時間がかかります、処理の遅い32bit変換は最後に行います)
12,グループ3のレベル調整をダブルクリックしてヒストグラムを見ながらレベルを調整。
ビスとグラムが描写されるまで待ち時間が長いです。
ヒストグラムが飽和しているようなら、グループ2、(グループ2のコピー)のレベルを同値で下げます。(又は上げる)
※レイヤー数が多い場合、保存するときにサイズが2GB以上ならビックドキュメント形式で保存します。
13,レベル調整が終わったら、レイヤー-画像を統合、イメージ-モード-16bit(HDRトーンは露光量0とガンマ1選択)
14,16bit変換でローレベルが変化するので最終のレベル補正を行う(色かぶりを修正するならRGB個別で調整)。
そのあと必要ならアンシャープマスクなどを適宜行う。