ランドサット8の熱画像で見る西之島の3D立体地形
ランドサット8の熱画像(バンド7,10)で、西之島の高温な溶岩流の大まかな「分布や厚み
(体積?)」を、3D立体地形図で表現してみました。
再噴火後の溶岩流によって高くなった地形の確認が出来るようです。
1、考え方は、
(1)、冷えていない高温の溶岩流は、熱画像の高温部で判別できる。
(2)、高温部は周りの地面より盛り上がって流れる溶岩があり、地面の高さは溶岩流の
厚みで周りの地面より高い。
(3)、低温域のバンド10の温度は解像度が100mなので温度は平均値となり、溶岩流の
体積と相関がある。
(4)、高温域のバンド7は解像度が30mなので、スポット的な高温部の判別が出来る。
上の(1)~(4)から地形判別のルールは、「溶岩流の流れているところは高温で地形が
周囲の地面より高い」とし、各バンドの温度(放射輝度)を高さの代用値の等高線として、
溶岩分布の3D立体地形図を作成しています。
R1メモ
温度(放射輝度0-255)と高温の溶岩流の高さはリニアではないと思いますが、
大まかな相関があると考えています。
今回の試みで得られた3D立体地形図は、正確な高さを表しているものではなく、
当たらずとも遠からずのアート的な要素の高い作品としての位置づけでしょうか(^_^;)
各画像は画像内の最大輝度を255に分割して作成しています。
そのため、各画像間の垂直レベルは同じではありません。
2、夜間撮影画像から得た、熱画像による3D立体地形図
夜間撮影は太陽光の影響を受けないため、溶岩流以外の常温の地面はバックグラウ
ンドの僅かな背景となり、高温の溶岩流だけを判別することが出来ます。
サンプルは直近の画像で雲の影響がない、2017/05/12 21:34 撮影の、バンド7,10です。
図1,2は、溶岩トンネル部分は少し温度が低めですが、トンネルを出た露出
している部分の溶岩は温度が高いのが解ります。
図3、4では再噴火後に噴出した溶岩で高くなった地形の差分データとして見ること
が出来ます。
西側に一時は流れて止まった溶岩は温度が低い溶岩原として確認できます。
図1、熱画像で見る西之島の3D立体地形 Landsat8 2017/05/12 夜間
バンド7の温度(放射輝度)を等高線の代用値として作成しています。
図2、熱画像で見る西之島の3D立体地形(交差法) Landsat8 2017/05/12 夜間
バンド7の温度(放射輝度)を等高線の代用値として作成しています。
図3、熱画像で見る西之島の3D立体地形 Landsat8 2017/05/12 夜間
バンド10の温度(放射輝度)を等高線の代用値として作成しています。
図4、熱画像で見る西之島の3D立体地形(交差法) Landsat8 2017/05/12 夜間
バンド10の温度(放射輝度)を等高線の代用値として作成しています。
3、昼間撮影画像から得た、熱画像による3D立体地形図
昼間撮影は太陽光の影響で、バックグラウンドの常温の地形が大まかに解ります。
サンプルは直近の昼間撮影の、2017/05/25 10:05 撮影の、バンド7,10です。
図5,6は、昼間撮影なのでバックグランドノイズとして噴煙や地面、海面が
見えています。
図7,8では、西之島の熱・等温線が表現されています。
図5、熱画像で見る西之島の3D立体地形 Landsat8 2017/05/25 昼間
バンド7の温度(放射輝度)を等高線の代用値として作成しています。
図6、熱画像で見る西之島の3D立体地形(交差法) Landsat8 2017/05/25 昼間
バンド7の温度(放射輝度)を等高線の代用値として作成しています。
図7、熱画像で見る西之島の3D立体地形 Landsat8 2017/05/25 昼間
バンド10の温度(放射輝度)を等高線の代用値として作成しています。
図8、熱画像で見る西之島の3D立体地形(交差法) Landsat8 2017/05/25 昼間
バンド10の温度(放射輝度)を等高線の代用値として作成しています。
4、再噴火前の溶岩原が冷えた状態の昼間画像から得た、熱画像による3D立体地形図
サンプルは、2017/03/06 10:05 撮影の、バンド10です。
再噴火前の、昼間の熱・等温線です。西之島に見えますか?
火砕丘を中心に高温部が残っています。
何故か砂浜の温度は島内の温度より高い。 太陽の照り返しでしょうか?
図9、熱画像で見る西之島の3D立体地形 Landsat8 2017/03/06 昼間
バンド10の温度(放射輝度)を等高線の代用値として作成しています。
図10、熱画像で見る西之島の3D立体地形(交差法) Landsat8 2017/03/06 昼間
バンド10の温度(放射輝度)を等高線の代用値として作成しています。
R1メモ
温度と高さを結びつけた例で、ひまわり8号で見た台風や雲の動きを3D立体ビデオに
したものを製作しています。
台風10号の3D立体動画を作ってみた。
http://r1rawd.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/10d-ff93.html
ひまわり8号で見る、24時間地球 3Dビデオ
http://r1rawd.cocolog-nifty.com/blog/2016/12/824d-1dc7.html
画像の出典:下記よりダウンロードした画像をもとにR1が作成。
"The source data were downloaded from AIST's LandBrowser,
(http://landbrowser.geogrid.org/landbrowser/index.html). Landsat8 data courtesy of the U.S. Geological Survey."
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コメント
こんにちは、R1さん。いつも覗かせてもらっています。
熱量や放射輝度を等高線にするのはなんとなくアルアルで分かりますが、まさか3Dの立体図にし立体視するとは驚きました。
これはとても新しい斬新な切り口であり、取り組みではないでしょうか。
しかもとてもスムーズに仕上がっていて、見やすく把握もしやすいです。
色々とすばらしい、感服しました~。
投稿: 柱状画家 | 2017年6月 9日 (金) 00時32分