水中撮影機材 第5回 3Dアダプター
第5回は、3Dアダプター。
ミラーを4枚(R/Lx2)使った、サイドバイサイド式の3Dアダプターです。
仕組みは、下の図1のように、外側のミラー間の距離で視差(人間の目の間隔に相当)を得
内側のミラーでカメラの1枚の画像に左右の画像を記録するタイプです。
図1、サイドバイサイド式の3Dアダプター
サイドバイサイド式は写真の大きさ4:3の画像を左右に分けているので、左右の写真の
大きさは縦長の4÷2:3画像になり単純に横画素数(解像度)が写真1枚当たり半分に
落ちる欠点はあります。
明るさも鏡の反射を2回使うので反射率80%としても、0.8x0.8=0.64 明るさが64%と暗く
なってしまいます。
更に表面鏡を使っているので表面反射による2重写りでさらに画質がほんの少し低下
(僅かです・・・)
早い話が、解像度が落ちて暗くなるので、画質が悪く手ぶれしやすい、となります。
また写真編集も必要で通常のカラー・コントラスト調整のほかに、左右画像のトリミング・
台形歪みの補正・交差法は左右入れ替えなどの編集が余分に必要です。
でも、一期一会の海の生物を3Dで見られることのメリットを考えると、そんな手間暇も苦に
なりません(^_^;)
撮影時の3Dアダプターのカメラへの取り付け姿は
水中撮影機材 第2回 水中撮影機材の撮影目的による形態変化
図5、3D標準撮影形態(第3形態) を参照。
図2、3Dアダプターの正面。
正面の下部中央には、外側のミラーの角度を調整するレバーがあります。(図4で解説)
図3、3Dアダプターの後面。
後には、クッキングカップの底を25mmの高さでカットした部分を利用した、レンズポートに
被せるキャップとして取り付けています。
このキャップはレンズポートのねじを使用せずに被せるだけなので、ワンタッチで取り付
け、取り外しができ、他にもマクロレンズ等にも使用しています。
写真のピンクのゴムひもは、カップ径が少しい大きいので、抜け止め兼センタリングとして
取り付けています。
撮影や泳いでの移動時には外れないが、着脱時は簡単に外せるキツサになるように、
ゴム径と張りの調節を行っています。
図4、3Dアダプターの外側ミラーのレバー操作による開閉とリンク機構
外側のミラーは、ズームによる画角の変化に合わせて、手動レバーでミラーの角度を可変
できるようになっています。
このミラー角度可変機構が無いと、ズームで画角が変わった時に撮影対象が左右の
ミラーの中央に持ってくることができないのでズーム機では必須の機構です。
※ AFターゲットは右画像の中央になるように、図1のようにAF点を右画像中央部に
移動させています。
現行機は写真撮影のためにバラスとミラー角度の精度が狂う恐れがあるので、説明には
SP560uzで使った1号機を使っています。
レバーとリンク機構は図4-2,4を参照。
※ フレームの材料はダイソーのプラスチックコンテナBOXを使っているので剛性が無く
バラスと精度が戻りません(^_^;)
図5、3Dアダプターのミラー可変角度機構
予備のミラーがあったので、フレームが無い状態のミラー部(仮)の詳細写真です。
外側ミラーは裏に防錆と軸受けのためにプラスチック段ボールを張っています。
回転軸とリンク受け軸は、プラ段の竪穴を利用してシリコンゴムのチューブをいれて
0.8φステン針金(ステン安全ピンを伸ばして使っています)にちょうどいい抵抗でガタツキ
のない軸受けとしています。
リンクの非対称による左右ミラーの移動量の不均等は、レバー回転軸とリンク穴までの
距離を変えて差を小さくしています。
※シリコンチューブは耐熱電線の被覆を利用しています。
図6、3Dアダプターに使用しているミラー
困った時のダイソーです(^_^;)
ちょうどいい大きさ(ミラーA :41x59.5mm、ミラーB:40x58mm)でカット加工せずに使える
ミラーです。
このミラーの大きさだと、ワイド側は50mmまででそれ以上の広角側は蹴らます。
ワイド狙いにするにはミラーの幅を広くすればいいのですがそうするとミラー間の距離が
長くなり、今度は近く(30~50cmぐらい)を写すとステレオベースが大きすぎて不自然な
立体写真になってしまいます。
ミラーの裏はスーパーX(黒)でプラ段などのフラットな面に固定と防錆を兼ねて貼り付け
ます。
図5で内側に使用している直角のミラー受け台は穴あき面なのでミラーとの間に薄い
フィルムなどを挟んで接着しています。
※ 穴あき部の裏がスーパーX塗布面だけだと、時間がたつと水分が浸透してメッキ面
が錆びました。
1枚薄くても防水性のあるフィルムが必要です。
あと側面もよく拭いて脂分が無い状態でスーパーXを盛っておきます。
ミラーにはみ出た部分は固まったらデザインナイフなどで切り取ります。
残ったカスは仕上げに消しゴムをかけると綺麗になります。
R1メモ
この記事のように裏面鏡を使った3Dアダプターは水中専用です。
陸上では鏡の表面での反射率が高いので、表面と反射面(裏側)で2重写りのゴーストが
出て使うことが出来ません。
水中では、ガラス表面での反射率が半分(4→2%程度)ぐらいになるので、2重写りの
ゴーストはほとんどわからなくなります。
水陸両用を兼ねて、表面鏡であるクローム鏡を使って試作したことがありますが、クローム
鏡の反射率は最大でも50%で、ミラーを2枚使えば、0.5x0.5=0.25 明るさが25%に暗くな
り、クローム鏡特有の色味が付くのであきらめました。
使い捨て覚悟で高価なアルミ誘電体の表面鏡を採用・・・とはなりません(^_^;)
水中撮影機材の掲載予定。
掲載済み
第1回、水中撮影機材一式のパーツ紹介
第2回、水中撮影機材の撮影目的による形態変化(パーツ組み換え)。
第3回、水中プロテクターとステー
第4回、内臓ストロボ拡散BOX
第5回、3Dアダプター
予定
第6回、3Dマクロアダプター
第7回、マクロレンズ(クローズアップレンズ)
第8回、ライト関係
第9回、モニター拡大鏡
第10回、その他
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