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2015年12月16日 (水)

西之島海底火山の噴火による隆起 (2013/12/04-2015/07/28)

                                          (西之島シリーズ目次)

 今回の噴火は大規模で長期間継続しているので、西之島海底火山が隆起している可能
性があると思い調べてみました。
西之島海底火山が噴火して旧西之島のほとんどが溶岩に覆われてしまい、現在は旧島部
の西端の岩盤部分(図1)だけがわずかに残っています。
この残された岩盤の標高を調べれば、噴火後に西之島海底火山が隆起しているかどうか
解るはずです。

   ※ 新しいデータ(2015/12/09,2016/03/03)を追加しました。(2016/06/28)
       → 西之島海底火山の噴火による隆起-2 (2013/12/04-2016/03/03)

 

 注意: 今回、使用した西之島の標高データは国土地理院HPで公開されているもので
     「まだ暫定的なものであり、測量等に使用することはできません。」
     の注意書きがあります。
     又、私の計算ミスで等高線図に間違いがあるかもしれません。
     そのため、記事内の結果・数値は公式なものではなく趣味で私的にまとめた
     参考データとして見て下さい。

 

 西之島海底火山が噴火してから国土地理院による標高データは8回発表されています。

 ①2013/12/04  ②2013/12/17  ③2014/02/16  ④2014/03/22
 ⑤2014/07/04  ⑥2014/12/04  ⑦2015/03/01  ⑧2015/07/28

このデータから、旧西之島の岩盤に共通する「標高の比較点」を決めて標高を調べます。

 

図1、西之島「旧西之島西端の岩盤」標高データの位置  (左クリックで拡大)

  旧西之島の残っている範囲を決め、岩盤の拡大図(図2)、等高線図(図3)を作ります。

Nishinoshima_hanasaki

 

 

次に、図2で岩盤部の状態、堆積物などの様子を見て、「標高の比較点」を決めます。

図2、旧西之島の西端にあった岩盤の変化  (左クリックで拡大)

Nishinoshima_ganban_20131204_to_201

 

 

 「標高の比較点」の選定ですが、図2から岩盤上に標高に変化を生じる堆積物が無い
(少ない)と思われる位置 (岩盤の凸凹が見えていて堆積物で埋まっていない場所)とし
て、岩盤の南西端を選定。
この範囲の旧西之島の岩盤部の等高線図(図3)を作り、標高の変化を確認します。

 

図3、西之島噴火による「旧西之島の西端岩盤の標高変化」を見る (左クリックで拡大)

   時期の異なる「標高の比較点」の標高を比べて、隆起しているかどうか判別します。

_w1300_002

 

 

 結果は、標高の比較点に選んだ岩盤位置は観測期間中(2013/12/04-2015/07/28)に、
約2m標高が高くなっていることが解りました。(※1)
一方、画像上部の赤点部分は、10-11mでほとんど変化が無いことも同時に解りました。
 これは火山の山頂が均一に隆起したのでは無く、「岩盤の南側だけ大きく隆起した」のか
「岩盤がどこかで割れて南側だけが隆起した」のかは溶岩流で隠された部分があるので
どちらかは判断ができません。

もう一つ別の解釈として、「山体は隆起しておらず、岩盤の北側に溶岩流が被さったため
その重みで岩盤の北側が地盤沈下し軽い南側が約2m浮き上がった」 というものです。

この2案のどちらかは私には判別できないので、結果は西之島が上陸調査できるまで
待ちましょう(^_^;)。

 

 他には、⑦2015/03/01から⑧2015/07/28にかけて砂浜の形成が速く、それまで水面
(0m~満潮時)であった場所が標高5mの砂浜になっています。
その堆積した砂は海岸線の溶岩が波の浸食で砕けたものと思われます。
西之島は、今日現在噴火による溶岩流は止まっているので新たな陸地の拡大は無く、
波による浸食でだんだん小さくなっています。

  ※1、 標高データは0.1m単位なので計算上はもっと細かく分かるのですが確度が
      出せないので1m単位で計測しています。

 

*** R1メモ ***
  岩盤部の3D立体写真です。

図4、旧西之島 2013/12/04,17 岩盤部 3D立体写真・交差法 (左クリックで拡大)

  今回計測に使用した旧西之島の岩盤部(左12/17,右12/04) 高さは誇張されています

Nishinoshima_201312_17_04_3d_c

 

図5、西之島 2015/03/25 旧西之島部分 3D立体写真・交差法 (左クリックで拡大)

V20150325_movie03_12131313_002

 

西之島の画像、標高データの出典:下記のデータをもとにR1が編集・図形化しています。

国土地理院 西之島HP http://www.gsi.go.jp/gyoumu/gyoumu41000.html

図1
技術資料C1-No423  技術資料C1-No.453

図2、図4 
nishinoshima_20131204_ortho_40.jpg  nishinoshima_20131217_ortho_40.jpg
nishinoshima_20140216_ortho_40.jpg  nishinoshima_20140322_ortho.tif 
nishinoshima_20140704_ortho.tif  20141204nishisnoshima.jpg
20150301nishinoshima.jpg  20150728nishinoshima.jpg

図3
技術資料C1-No425,技術資料C1-No426,技術資料C1-No435,技術資料H1-No13,
技術資料H1-No16,技術資料C1-No.444,技術資料C1-No.448,技術資料C1-No.453

図5:海上保安庁 西之島HP v20150325_movie03.mp4 より作成。
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/GIJUTSUKOKUSAI/kaiikiDB/kaiyo18-2.htm

 

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