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2015年7月 6日 (月)

西之島をランドサット8で綺麗に見たい(1)

                                          (西之島シリーズ目次)

 

  「Landsat-8 直接受信・即時公開サービス(産総研)」からダウンロードできる
ランドサット8の西之島画像をカラー化するのに自己流で現像していました。
衛星画像の基本がわかっていないため現像条件が毎回統一できず、作る度に色や
コントラストが違っています。
今回は、現像の基本を覚えるために産総研HPの画像を手本に、現像条件を見直して
みたいと思います。

自己流で現像するときは見た目重視で派手目に現像していましたが、手本のとなるHPの
  ・カラー画像(NATURALCOLOR.tif)はぼやけてみえる?、
  ・高解像度カラー画像(default.tif)は色が薄い?
なぜ控えめな画像のままなんだろうと考えたときに思い浮かんだのは
「あえてやっていない?」
画像をリモートセンシングに使う場合は特定の対象物を見つけるために各バンドを比較
演算(合成、減算など)したり、絶対輝度(温度などの換算)を求めるときなどは、各バンド
間のレベルと諧調がそろっている必要があります。
そのため生データが欲しいわけで、私のように見た目がきれいにみえる処理は行っていな
いと考えました。

今まで私が現像してきた画像は、「見た目に綺麗に見える」ように自己流で現像(ヒストグラ
ムの平均化などの処理)していたので各バンドのレベルは不揃いでバンド間の演算などと
いう考えはありませんでした。
そのため、バンド2,3,4を合成してカラー化すると色がおかしくなっていました。

今回は、HPのオリジナル画像に近づくように現像のパラメーターを探ってみます。
現像パラメーターが解れば、今後現像時にバンド間のレベルと諧調をそろえることが出来
ます。
テストには、観測を妨げる雲が無い好条件の 2015/06/21(昼間)の画像を使いました。

 

 

1、初めに、オリジナルの 「 LC81050412015172LGN00_default.tif、 
  LC81050412015172LGN00_NATURALCOLOR.tif 」 の分析です。
  このヒストグラムを再現するためのパラメーターが現像の基準になります。

 

 

図1、ランドサット8 2015/06/21 NATURALCOLOR(産総研オリジナル)

01_landsat8_20150621naturalcolor

 

 

図2、ランドサット8 2015/06/21 default(産総研オリジナル)

02_landsat8_20150621default

 

 

図3、ランドサット8 2015/06/21 BAND8(産総研オリジナル現像を推定)

   図2は高解像度グレースケールB8に、B2,3,4合成のカラー情報が被さった画像です。
   ここからグレースケールB8のみを抽出した画像(図3)のヒストグラムを見て、
   default合成時のベースとなるB8の現像条件を決めます。

03_landsat8_20150621band8

 

 

2、図1のヒストグラムと同じになる、バンド2,3,4の現像条件(露光量、ガンマ)を探します。

   図1に近づけるように選定したのは露光量=-15.50、ガンマ=1.10 
   (Photoshop cs6 32→16bit HDRトーン 露光量とガンマ)
   で、RGBとも同値のパラメーターになりました。
    ※ 露光量、ガンマ調整だけでは完全には一致できなかったので、現像後に少し
      RGB同量のレベル調整を行っています。

 

 

図4、ランドサット8 2015/06/21 BAND4+3+2(RGB合成)

04_landsat8_20150621band432

 

 

3、図3のヒストグラムと同じになる、バンド8の現像条件(露光量、ガンマ)を探します。

  
図5、ランドサット8 2015/06/21 BAND8(現像)

   パンシャープカラーのベースB8を、図3と同じヒストグラムになるように調整します。
   B8も現像条件はB2,3,4と同じ、露光量=-15.50、ガンマ=1.10が一番近くなりました。
     ※ 露光量、ガンマ調整だけだと暗い部分の諧調が飛び気味なので、オリジナル
       に近づけるように少しトーン調整しています。

05_landsat8_20150621band8

 

 

4、図4、図5を合成して、パンシャープカラー(default)画像、図6を作成してみます。

   オリジナルと同じ条件になっていれば色、コントラストは同じになるはずなのですが微妙
  に違います。
  ちょっとブルーが強すぎますが、RGBとも同じ条件で現像する前提を守りたいので
  現像までさかのぼって修正するのは止めて、仕上げ時に調整することにします。
  我流で現像していた時は島の周りの波に擬色が出ていましたが、今回はほとんど
  目立ちません。
  これだけでも今回の成果はありました。

 

 

図6、ランドサット8 2015/06/21 default(PAN-B8+COLOR-B2,3,4)

06_landsat8_20150621default

 

 

5、図6を調整して、「見た目に綺麗な西之島」図7,8の完成です。

  図7は図6に、色補正とクリア感を出すレベル調整をしています。

 

 

図7、ランドサット8 2015/06/21 default(PAN-B8+COLOR-B2,3,4)

   (左クリックで拡大すると、1366x696 になります)

07_landsat8_820150621default

 

 

  最終画像の図8は、図7にB8解像度15mのギザギザが低減するようにフィルターを
  掛けています。

図8、ランドサット8 2015/06/21 default(PAN-B8+COLOR-B2,3,4)~ 最終仕上がり

   (左クリックで拡大すると、1366x696 になります)

08_landsat8_20150621default

 

 

まとめ

  今回、「Landsat-8 直接受信・即時公開サービス(産総研)」のオリジナル画像に近づけ
 るパラメーターを知ることが出来ました。
 そのため、RGB画像のレベルが揃ったことで今までRGB合成で出ていた擬色がほとんど
 でなくなったのが一番の成果です。
 また擬色が出ないということは、実際に見たことのない西之島の本当の色に少しは近づ
 いたと思っていいのでしょうか?(^_^;)

 あと今後の課題としては
    1)ほかの日の画像にも適用できるか?
    2)昼間、夜間の熱画像 B5,6,7,10,11 の現像パラメータ
  を確かめる必要があります。

 

      R1メモ
       ランドサット8は上空705Kmにあります。
      同じ距離を陸上で例えると、東京からダッシュ島まで約690Km。
      地平線と大気を無視すれば、スカイツリーからダッシュ島が
      これくらいに見えるってことです。

      Nisinosima_yurijima

      西之島も何百年後には、由利島のような緑の島になれるでしょうか?

 

写真の出典
Landsat-8 日本受信・即時公開サービス http://landsat8.geogrid.org/l8/index.php/ja/
”The source data was downloaded from AIST's Landsat-8 Data Immediate Release Site,
Japan(http://landsat8.geogrid.org/).  Landsat 8 data courtesy of the U.S. Geological
Survey.
2015/06/21の西之島画像B2,3,4,8を加工して作成。

 

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