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2015年6月28日 (日)

ランドサット8の「高温検知システム」とは

                                          (西之島シリーズ目次)

 

 Landsat-8 直接受信・即時公開サービス(産総研)で公開されている「高温検知システム」があります。

西之島 2015-06-21 「高温検知システム」の画像(図1)

Netukentisisutemu

 出典:Landsat-8 直接受信・即時公開サービス HPより
    http://landsat8.geogrid.org/l8/index.php/ja/

 画像の中で高温部分を赤で表していますが、「何度以上を高温?」としているのか解りません。
また観測しているどのBANDのどんなデータを使っているのかも不明です。
そこで上の例で各BANDの画像と高温表示部分を比較してみるとBAND6,7の明るい部分と一致します。
この明るい部分を重ね合わせて?高温部として表示しているようです。

   *** 追加 2015/07/03 ***
     「高温検知システム」についてコメントを頂きました。ありがとうございます。

    「産総研の「高温検知システム」はランドサットのB5とB7のDN値(明るさ)の違いを
    使って高温部を推定しています。
    これにより、植物からの赤外反射をある程度相殺しています。」
 
    バンド間の足し算までは考えていたのですが引き算もしていたんですね。
    次回に試してみます。
   ***************************

西之島 2015-06-21 BAND7 高温部分(明るい部分)の例 (図2)

Landsat8_band7_20150621

 出典:Landsat-8 直接受信・即時公開サービス HPよりBAND7をDL
  (画像のコントラストは32bit現像時の調色で変化します)

 

でも、BAND6,7の説明を調べてみると、多くのHPに記されている説明は

 ・BAND6 SWIR 2 1.57~1.65㎛ 中間赤外 観測対象:葉
 ・BAND7 SWIR 3 2.11~2.29㎛ 中間赤外 観測対象:鉱物/残物/無散乱

としかなく、温度を観測できるとの記述がどのHPにもありません。
リモートセンシング超初心者の私は、BAND10,11の熱赤外線画像が表面温度を表している
ものだと思っていたので意外でした。

 

今まで「BAND10,11以外で温度が観測できる」根拠が解らなかったのでBAND7等は使わな
いようにしていたのですが、BAND10,11以外でも温度が観測できることを解説しているHP
(※1:産総研 リモートセンシングRG  浦井 稔氏 HP)があり、内容は難しいのでよく理解で
きないものの、BAND6で約290~430℃、BAND7で約130~310℃の温度を観測できること
が解かりました。

下図は、ランドサット7,8の各BANDで観測することのできる地表温度範囲を示しています。
(Landsat-8のデータはR1が追加しました)

ランドサット衛星に搭載されているTMセンサによって観測可能な地表温度範囲(図3)

  ※下図は、ランドサット7のバンド4,5,7,6に相当するランドサット8のBAND5,6,7,10,11
      (赤字)を重ねて表示しています。

Landsat8_ondosokutei_001

図の出典(※1):産総研 リモートセンシングRG  浦井 稔氏 HP 「火山の表面温度」
https://staff.aist.go.jp/urai-minoru/volcano/Temp.htm 
「観測値と地表温度の関係」より引用し、ランドサット8のBAND5,6,7,10,11を重ねて表示。

   ※グラフは、大気透過率を0.92地表放射率を0.82とした場合の,
     各温度における分光放射輝度である(HPより)

図より、ランドサット8の各バンドで観測できる地表温度(R1調べによる参考値)。

  B5:約600-950℃
  B6:約290-430℃
  B7:約130-310℃
  B10:常温-約85℃
  B11:常温-約100℃

 ※地表温度はR1調べで、気象条件等により変化するので参考値とします。

これで、各バンドの画像に明るい輝点があった時はおおよその温度を知ることが出来る
ようになりました。
ここで画像から表面温度の絶対値も知りたいところですが、観測日の天候などに左右され
る難しい定数があるので専門家でないと無理なようです。
私は明るい所を見つけて、ここが火口だとか溶岩流だとかのレベルで楽しめれば良いと
思います。(^_^;)

 

 リモートセンシングの画像処理では、各BANDを重ね合わせて特定の条件を引き出して
判別するのが普通のようです。
例として火山監視には溶岩流の温度が約1000~1100℃の高温なので、BAND6,7,10を
重ね合わせて偽彩色した画像が使われているようです。

 例:Landsat-8が捉えた西之島付近の噴火(2013年12月~)(図4)
    国土地理院HPより引用
 http://www1.gsi.go.jp/geowww/EODAS/nishinoshima/nishinoshima_IR_analysis.html

Landsat_gousei_1214_w800

「地形判読図と赤外合成画像の重ね合わせ図
地形判読図:2014年12月10日 赤外合成画像:2014年12月14日
 赤外合成画像諸元
   R:バンド10(10.60-11.19μm)
   G:バンド7(2.11-2.29μm)
   B:バンド6(1.57-1.65μm)    ※ここまで引用」

あと、リモートセンシングでどんなことが解るんだろう?
奥がもっと深そうです(^_^;)

 

来週にはダイビングに行けそうです。早く海の記事が書きた~~~い

 

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コメント

産総研のランドサット「高温検知システム」を紹介いただき、ありがとうございます。
https://www.facebook.com/pages/%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%B5%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%92%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%97%E3%82%82%E3%81%86-%E5%80%B6%E6%A5%BD%E9%83%A8/543052655744875
に紹介と、高温検知システムについて少し書かせていただきましたのでご参照ください。
さらにご興味がありましたら、論文等を紹介させていただきます。

投稿: 岩田 敏彰 | 2015年7月 3日 (金) 20時50分

コメントありがとうございます。
西之島の3D地形図関連で写真を探しているうちにランドサット8を知りました。
リモートセンシングは、バンドの組み合わせで対象物を強調したり打ち消したりと奥が深いんですね。

投稿: R1 | 2015年7月 3日 (金) 22時57分

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