25mメッシュ水深データによる鳴門海峡の3D海底地形図(シリーズ30)
以前に、「 鳴門海峡の、3D海底地形図 (シリーズ13) 」 を500mメッシュ水深データ
(J-EGG500)で作ったのですが、海峡幅約1.3Kmを500m間隔の水深データで海底地形図
を表すには無理がありました(^_^;)
もう少しメッシュが細かいデータが無いかと探したのですが見つかりません。
魚探などの電子海底地形図は等深線の輪郭を繋ぐための間隔の粗いコンター図用データ
で等間隔の水深メッシュではありませんでした。
後は海図をメッシュで区切って目測で水深を読み取る方法しかないので使える海図が無い
か探したところありました。
国土地理院の「沿岸海域土地条件図 鳴門海峡 1984-03-01」です。
メッシュ間隔は25mで読み取り可能だったので、(25mメッシュx水深1m単位)でデータの
サンプリングを行いました。
(※元図の拡大や目測の誤差があるので、ピッチは約25mでカウントしました。)
目測サンプリングにどのくらい読み取り時間が掛かるのかわからないまま始めたので、
「鳴門の渦潮が出来る仕組み~(これが知りたい。のが今回の動機です)」を見るのに必要
な最低限の範囲としました。
終わって見れば、データ量は 75x86 = 6,450(X,Y,Z)セットになりました。
(これ以上は目測の根気が続かなかったのです(^_^;))
①鳴門海峡の3D海底地形図(25mメッシュ水深データ)(図1)
3D立体海底地形図・交差法 (左クリックで拡大)
ここまで詳細に海底地形が表せるとは思っていなかったので正直びっくり!!!
苦労が報われた~
1、3D海底地形図は「裸眼立体視・交差法」で作られています。
2、水深(垂直方向)の倍率は2~3倍に誇張されています。
(水深は、等深線カラーを参照ください)
3、本図は「国土地理院の(沿岸海域土地条件図 鳴門海峡 1984-03-01)」を基に
作成しています。
参考に以前500mメッシュ水深データで作った3D海底地形図がこれです。
こんなに違っていました!
そもそも500mメッシュ水深データは広域用データで、無理やり作った私が悪いのです。
決して、データセットが悪いわけではありません(JODCさんには感謝です(^_^;))
鳴門海峡の渦潮と海底地形(図2) 3D・交差法 (左クリックで拡大)
3D立体海底地形図・交差法 (左クリックで拡大)
500mメッシュ水深データ(J-EGG500)はJODCさんからダウンロードできるのでエクセル
限界の100万行のデータセット(北海道の海底地形図のデータ量)でもパソコン任せで楽ち
んなことを思えば、いかに目測が大変か思い知らされました(涙
②鳴門の渦潮はどうしてできるのか?
まず、「渦潮のできる位置」を3D海底地形図に重ねてみます。
鳴門海峡の3D海底地形と渦潮のできる位置(図3)
3D立体海底地形図・交差法 (左クリックで拡大)
1、3D海底地形図は「裸眼立体視・交差法」で作られています。
2、水深(垂直方向)の倍率は2~3倍に誇張されています。
(水深は、等深線カラーを参照ください)
3、本図は「国土地理院の沿岸海域土地条件図 鳴門海峡 1984-03-01」を基に作成
しています。
4、水色で示した渦潮の位置データは、
「国土地理院の空中写真 CSI20091-C4-67,68」を基に作成しています。
水色で示した渦潮の位置は空中写真で見た渦潮を転写しています。
渦潮の発生位置は、裸島と中瀬の浅い部分を乗り越えてきた速度の遅い流れが海峡中央
を流れる流れの速い本流に引き込まれている流れの境目に出来ているように見えます。
流れの速度が違う境目にどうして渦が出来るのか?
よく分かりませんでした・・・
写真は、播磨灘から紀伊水道に潮流が流れているときのものです。
反対に紀伊水道から播磨灘に潮流が流れているときの写真が見つからなかったので
その時はどうなるんでしょうか?
また、疑問が一つ増えました(^_^;)
3Dプリンターが普及したら鳴門海峡の模型を作り、渦潮の実験が出来そうですね。
③鳴門海峡の海底地形と渦潮のできる位置 (左クリックで拡大)(図4)
別の角度から見るために、空中写真と海底地形図を縦に並べてみました。
左右の浅瀬を乗り越えて速度の遅くなった側流が中央を流れる本流に引き寄せられて
流速が早くなる部分の外側に渦潮が出来ているように見えるのですがどうなんでしょう?
1、渦潮のできる位置と海底地形の位置がわかるように並べています。
2、上の渦潮の位置を示す空中写真は、
「国土地理院の空中写真 CSI20091-C4-67,68」を基に作成しています。
3、下の海底地形図は「国土地理院の沿岸海域土地条件図 鳴門海峡 1984-03-01」
を基に作成しています。
R1メモ
※ひまわり8号の画像で、鳴門海峡を流れる潮流が見えるか?を確認したブログです。
「ひまわり8号で紀伊水道に出入りする潮流を見る。」 2016年3月21日
「ひまわり8号で瀬戸内海の潮流が見えるのか」 2016年3月29日
④鳴門海峡のサンプリング精度(図5)
目測で水深を読み取ったデータがどれくらいの精度なのか確認してみました。
25mメッシュ水深データで作った海底地形図と沿岸海域土地条件図を重ねてみます。
※3秒ごとにオリジナル海底地形図が重なるGIF図です。
1、海底地形図のデータは、「国土地理院・鳴門海峡の沿岸土地条件図」の水深を
25mメッシュ・水深1m単位の目測によるサンプリングで得ています。
読み取り精度が低いので、元図と重ねて出来を確認してみた。
(3秒ごとに切り替わります)
2、海底地形図は「国土地理院の沿岸海域土地条件図 鳴門海峡 1984-03-01」を
基に作成しています。
国土地理院には海底スキャンで測定したもっと高精度の電子データがあると思うので
すが、一般人の趣味には使わせてもらえないのでこのぐらいが個人で得られるデータの
最終でしょうか?
⑤メッシュサイズの違いによる地形の再現性(図6) (左クリックで拡大)
今回は目測で水深を読み取れる最少メッシュ間隔だった25mでサンプリングしました。
結果は元図の等深線をほぼ再現できましたがデータ量が大きいのにはまいりました。
地形の再現性を確保しながらどこまでメッシュサイズを落とせるかシミュレーションしてみました。
メッシュ間隔は 25/50/100/200m とし、どのような違いが出るか見てみると、地形の再現は50mメッシュまでで
100mメッシュは大まかな輪郭までの再現、200mメッシュは広域図で縮尺が大きい場合しか使えないようです。
※ 図6は、各メッシュサイズの生データをエクセルの等高線グラフで描写したもので、
データの補間は行っていないので等深線の「カクカク」が目立ちます。
次はどこ作ろう?
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鳴門海峡の3D海底地形図を作成するために使用させていただいた資料の出典
1、国土地理院の「沿岸海域土地条件図 鳴門海峡 1984-03-01」~図1、図3、図4、図5、図6
http://portal.cyberjapan.jp/site/mapuse4/
2、国土地理院の、「空中写真 CSI20091-C4-67,68」~図3、図4
http://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do
3、JODCの、500mメッシュ水深データ(J-EGG500) ~図2
http://www.jodc.go.jp/jodcweb/index_j.html
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