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2014年6月25日 (水)

水中マクロ撮影用ミラー式3Dシステム・の製作

水中マクロ撮影用ミラー式3Dシステム・の製作

 水中で3Dマクロを写すことのできる、3Dアダプターを作りました。

    ※マクロ用3Dシステムで写した写真です。

 

1、「水中マクロ撮影用ミラー式3Dシステム」~原理編

 今使っている自作のミラー式3Dアダプター(図0)(ペンタックス3Dアダプタ式)は、
左右用のミラーを横に並べた横長の形です。

00_3d_sys
 (図0)

 

この方式は視差距離(ステレオベース)が約10cmと大きいため、XZ-2との組み合わせで
は中距離(約30cm)以上のワーキングディスタンスでないと、3Dが不自然になります。
このままクローズアップレンズと組み合わせてもステレオベースが大きくて3Dとして成り立
ちません。

 ミラー式で何とかステレオベースを短くできないか?
そこで考えたのが、左右分離用のミラーユニットを横に並べている従来式に対して、ミラー
ユニットを縦にして並べて配置する方式で、この方法だと入光側のミラー間隔を小さくでき
ます。
名付けて、「潜望鏡式ミラータイプ3Dシステム」(図1~3)

01_3d_genri
(図1-3)

 

図1は、横から見た光路。図2は上から見た光路です。
視差を得るために、上部のミラーを内側に少し回転させ、「右から見た画像」「左から見た
画像」のステレオペア画像を得ます。
この方式で、3Dアダプターのステレオベースは30mmと格段に小さくすることができ、
これでやっとクローズアップレンズと組み合わせて使うことのできる「マクロ用3Dシステム」
が出来ました。

でも、弱点もありました。
 1)R/Lの画像が傾いてしまう(図3)。
  (上部ミラーを内側に傾けているため、下部ミラーと平行にならないためです。)
  このため、3D編集時に「写真の傾きを修整する」ひと手間が増えますが、「今まで写せ
  なかった3Dマクロ写真が写せる」ことのメリットの方が大きい。
 2)カメラの光軸と被写体との光軸にオフセット(図1)があるため、カメラで狙う位置が
  ずれる。
  これは慣れれば問題ないのですが・・・

 

2、製作編

 製作過程の写真を写していなかったのでこの写真(図4)しかありませんが、仕組みは
分かると思います。

04_p6130565_kouro
(図4)

 

実機では、下部側のミラーは2枚に分けても平行に置くだけなので、大きなミラー1枚で
共用しています。
下部ミラーを1枚にしたことで写真の中央にできる黒い縦筋の幅が狭くなり、左右のクロス
トークが無くなりました。
上部ミラーは、原理のところではミラーを光軸に対して回転させていますが、実際にミラー
の回転機構を工作機も無いハンドメイドで作るのは無理なので、2枚のミラーで「バタフライ
式の角度調整機構」に変更しています。
R/Lミラーの接辺を回転軸にして裏側から押しねじを回すことにより角度調整が出来るよう
になっています。
使用している材料はほとんどダイソー製で、ケースはタッパ、レンズポートに嵌めるリング
はクッキングカップの底、ミラーは手鏡、レンズは虫眼鏡を使用しています。

  R1メモ 

   水中ハウジングへの、自作のマクロレンズ・3Dアダプター等の固定はポートのねじを
  使用せずに、ポート先端にカップ状のリングを被せる方式を採用しています。
  脱着はリング部を抜き差しするだけなので水中でも簡単に交換できる優れものです。
  XZ-1,XZ-2の水中ハウジング(PT-050,PT-054)のポート径は同じなので共用できます。
  ピンクの部分は、スペーサー兼抜け止めのゴムひもです(^_^;)
  この場合、純正の拡散板は使えなくなります。(4、自作拡散BOXを参照)

 

出来上がった3Dアダプターを水中ハウジングにセットした状態が(図5)です。

05_p6250722_3dad_kakusannban
(図5)

 

 原理編では上部ミラーが「上側」でしたが、内臓ストロボの光が自作拡散板越しに上から
落とせるように上下を逆にして使っています。

図6は、クローズアップレンズ側からの写真です。

06_p6180682_uragawa
(図6)

 

 クローズアップレンズは、ダイソー製の虫眼鏡(f150mm)を使用しています。
これは今後ジャンクレンズを使った色消しレンズに交換予定です。
下には入光側ミラーの角度調整ねじ(2本)が見えています。

図7は正面で、下に入光側ミラー(ダイソー)が見えています。
(ミラーをうまく切れなくていびつです(^_^;))

07_p6180697_mae
(図7)

 

3、3D編集編

 図8は、この3Dアダプターで写したときの画像の傾きが分かるように、少しワイド側で写し
たものです。

08_p6140669_waido
(図8)

 

右側がα、左側が-β ほど傾いて写っています。
完璧に調整すればα=βとなりますが、シビアに調整する必要はなく見た目で同じ傾きな
らOKです。(ケース自体が剛性の無いタッパです。微調整はソフトに任せましょう

図9は、像が欠けないようにズーム最大位置で写したときです。(この状態で使用します)

09_p6140674_501_org_katamuki
(図9)

 

ミラーの角度調整は、この時被写体が中央になるように調整します。
写っているのは、ウミウシに似せて?作ったモデルさんです。

  ※大きなミラーを使用してズームで使用する場合、ミラー角度を画角に合わせて
    連続可変式にする必要があります。
   今、どんな方法で連続可変式方式を実現するか悩み中です(^_^;)

像の傾きα、βはミラーの角度・位置・大きさ・クローズアップレンズにより変わるので、
方眼紙状の目盛を試し撮りして自分のシステムの校正値をあらかじめ調べておく必要が
あります。

図10~私の場合、交差法で作るので左右の画像を入れ替えます。

10_p6140674_502_irekae
(図10)

 

図11~像の傾きα、βの分だけ傾きを補正します。

11_p6140674_503_katamuki_hosei
(図11)

 

 この時、上下のずれが有れば同時に直します。
また、ミラーによる台形歪みが気になるならこれも直しておきます。

   ※図11で像の傾き、上下のずれなどをソフトで補正するので、ハード側のミラーの
    傾きや左右のずれの調整をシビアに行う必要はありません。というかできません。
    (ハード面は剛性不足のハンドメイドなので精度維持はできません。それをソフトで
     補います)

図12~不要な部分をトリミングして完成です。

  3D立体写真・交差法 (左クリックで拡大)

12_p6140674_504_toriminngu
(図12)

 今回作成したマクロ用3Dシステムの撮影範囲は、横幅で約20mmでした。
テスト撮影は水を張ったバケツで行っているので、手ぶれや浮遊物などのない好条件下
で行っています。
ダイソー製の虫眼鏡、ミラー(手鏡)を使ってこれくらいの画質を得ることが出来ました。
2号機は更なる画質アップを目指して、一眼望遠レンズ・ジャンクの色消しレンズと少し
高精度なミラー(車用の平面ルームミラー(^_^;))で作る予定です。

 

4、自作・ストロボ拡散BOX 編

 図4のストロボ拡散BOXです。

13_kakusannbox
(図13)

 

XZ-1,2の水中ハウジング(PT-050,PT054)に共用で使うことが出来ます。
  ※ダイヤルの切欠き部分はXZ-2(PT-054)の方が少し大きいです。
カメラ購入時からこの拡散BOXを作って使用しているので、純正の拡散板をまだ水中に
持ち込んだことが有りません(^_^;)

 

5、ミラーについて

 今回、ミラーは裏面鏡を使用しています。裏面鏡は空気中で使うとゴーストが酷くてNGな
のですが、水中ではガラスの表面による反射率が下がるのでゴーストが目立たなくなり使
うことが出来ます。
ただし裏・横面の防水処理をしないとすぐ鏡面がダメになります。
本当はアルミ蒸着などの表面鏡がいいのでしょうが海水での耐久性が無く高い(ダイソー
で売ってません(^_^;))

クロームの表面鏡を使ったことが有りますが、反射率が低い(約40%)ので暗く、 
ミラー2枚の反射で、0.4x0.4=0.16 16% の光量に減ってしまいます。
コンデジでf8だとIOS感度が上がってノイズの多い写真になってしまうし、手ぶれも起きや
すくてキビシイので、1回で断念しました。
また、波長によって反射率が異なる?のか色味が変わります。

 

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