(海底地形図の一覧)
今週のダイビングは、大雪と大時化で断念 (涙~)
R1が住んでいる北海道某所では、土日で40cmぐらいの積雪でした。
今回はダイビングネタが無いので、久しぶりの「海底地形図シリーズ」です。
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NHK・Eテレの「サイエンスZERO 津波の真の姿をとらえろ~世界最大!海底地震津波
観測網~ 2014年3月2日」を見て、「海底地震津波観測網」を調べてみました。
最初に、観測装置の配置図です。
(図1)日本海溝海底地震津波観測網の整備計画
出典:NECのホームページより
「日本海溝海底地震津波観測網の整備計画、観測システム(サブシステム)の
構成、観測装置の外観と構成
http://jpn.nec.com/press/201307/images/0902-01-01.pdf 図1」
平面図だと、センサーと海底ケーブルがどんな地形に対してどう敷設されているのか
分かりづらかったので、いつものあれで、3Dにしてみればよく分かるのではないかと?
また都合のいいことに(^_^;)、以前に作った「日本海溝の3D海底地形図」もある!
そんなこんなで今回は、「日本海溝海底地震津波観測網」と「日本海溝の3D海底地形図」
を合体させて見ました。
そして、知りたかったことは、
①観測装置の設置場所はなぜこの配列なの?
②「日本海溝海底地震津波観測網」、どんなメリットがあるの?
③観測装置のスペックは?
で、出来上がった図がこれです。
(図2)3Dで見る「日本海溝海底地震津波観測網の配置」
裸眼立体視・交差法 (左クリックで拡大 → 1200x1400ピクセル)
1、3Dで見る「日本海溝海底地震津波観測網の配置」は、裸眼立体視・交差法で
作られています。
2、海域の水深データはJODCの「日本周辺の500mメッシュ海底地形データ
(J-EGG500)」を使用しています。
水深は、等深線カラーを参照してください。
(注意:3Dで見たとき、水深(垂直方向)は実際よりかなり誇張されています
例: 緯度40度の場合、経度1度の長さ(東西)は、約85.4Kmであり、
深さ約8000mの海溝が3Dでは上のように見えています)
3、本図の「観測装置、海底ケーブルの位置」は、下記NEC・HPの配置図をトレース
により引用させていただきました。
「日本海溝海底地震津波観測網の整備計画、観測システム(サブシステム)の
構成、観測装置の外観と構成」
http://jpn.nec.com/press/201307/images/0902-01-01.pdf 図1
注1:観測装置、海底ケーブルの位置は、トレースにより転写しているので、
位置(経緯度)の精度は低いです。
注2:①房総沖の観測装置の下部側の一部は、3D海底地形図の下限より下の
ため欠けています。
【知りたかったこと ①観測装置の設置場所はなぜこの配列なの?】
観測装置の配置は、(資料1)※1 によると
東西方向は約30km間隔、南北方向は約50-60km間隔で配置されており、
M7.5クラスの震源域程度の拡がりに1観測所が存在する密度になっているようです。
上記の条件で観測装置の配置が決まったようですが、
う~ん、そうなのか? と私の理解するところではないようです(^_^;)
ここで敷設に関して疑問が?
①観測装置は海底に対して、センサーのXYZ軸を正確に置くことが出来るので
しょうか?
海底が傾いていたり、観測装置の海底ケーブルがねじれたりして、観測装置
の軸がずれて設置されてしまった場合、たとえば横揺れが縦揺れに誤検出し
ないのでしょうか?
観測装置の中に傾き補正のセンサーがあるのかな?
②観測装置より大きな窪みの上にちょうど海底ケーブルが跨ってしまい、センサー
が水中に浮いた状態にならない?
③設置位置の海底の状態が異なる(岩盤、砂地、泥、浮石の上 等)と、感度も
変わるのでは?
こんなこと聞く機会もないので、疑問のまま悶々と・・・
※1:(資料1)の参考文献
日本海溝海底地震津波観測網の整備と津波即時予測(PDF)
NIED 独立行政法人 防災科学研究所
http://www.bosai.go.jp/event/2012/img/130225_03.pdf
・日本海溝海底地震津波観測網に興味を持たれた方は一読をお勧めします。
【知りたかったこと ②「日本海溝海底地震津波観測網」、どんなメリットがあるの?】
一般人が知りたいのは、
「津波が起きたら避難するのに早く知りたい」と「地震予知出来るようになるの?」
だと思います。
「早く知りたい」は、(資料1)によると従来の陸地観測所のみの場合と比べて
①地震検知が、最大30秒早くなる。
②津波検知が、最大20分早くなる。(水深3000mを仮定)
これは、
1)センサー網の内側で発生した地震、津波はリアルタイムで検知できるようになる
ため、震源域から陸地までの伝達時間が短縮されるためです。
・センサー網の内側は陸に近いほど遅れ時間が小さいため、時間短縮効果は
小さくなります。
2)センサー網の外側が震源域の場合、外周センサーと沿岸部の距離だけ伝達時間
が短縮されます。
この場合、時間短縮が最大値になります。
例:
「例えば200 km 沖合で地震と津波が発生するケースでは最大で30 秒程度早く
緊急地震速報を出すことが可能となる.沿岸に津波が到達する約15 分前には
沖合で津波を検知して情報発信することが可能となる. (※2)」
※2:地震ジャーナル55号 - 地震予知総合研究振興会
日本海溝海底地震津波観測網について・金沢敏彦
http://www.adep.or.jp/public/img/55.pdf
より引用させていただきました。
ここで注意しなければいけないことは、センサー網により検知した地震・津波データを
陸上局まで伝達する時間がリアルタイムになっただけで、その後に警報を出すまでの
処理(陸部のデータ伝送、予想される震度や津波の高さ・到達時間と場所などのスー
パーコンピューターによる解析、人による判断、広報 等)を含めた総合の時間短縮
は、これからの実験・検証で新しい地震・津波予報データベースなどの構築を経てか
らです。
地震津波観測網は2014年末に完成、本格運用は2015年からの予定です。
1分の差で生死を分ける津波。予報時間の短縮が期待されます!
「予知出来るようになるの?」は
地震関係の専門家は、地震発生域の詳細なデータが広域でリアルタイムに分かる
ようになって、地震メカニズムの学問が進歩するでしょうが、一般人が知りたいのは
「地震予知が可能になるんだろうか?」です。
(資料1)には「東北地方太平洋沖で発生する詳細な地震像は明らかになっておらず、
震源域に近い海域の観測網により、地震を連続観察して、精度高く地震像を解明す
ることは、将来の地震発生予測に貢献するとともに、復興過程における被災地の都
市計画、防災計画に貢献。(資料1より引用)」とあります。
地震予知はまだ将来の話のようです。 早期実現に期待したいですね!
【知りたかったこと ③観測装置のスペックは?】
観測装置のスペックです。
出典:地震ジャーナル55号 - 地震予知総合研究振興会
日本海溝海底地震津波観測網について・金沢敏彦
一番驚いたのは、津波計。
水底に設置した水圧計で、水面の高さ変動を海底から水面までの水柱の重さ(圧力)
変化としてとらえること。
なんと分解能は1mm。
日本海溝外縁に置かれる観測装置の水深は約6000~6500m(センサーは0-7000m
仕様で7000m以深には設置できません)
そんな深い所から海表面の1mmの変化が分かるなんて!
でも、波による変化はどうフィルタリングするんだろう?
また観測装置1台の値段も気になる。本体だけで一千万円以上だろうな~
「日本海溝海底地震津波観測網」を調べた感想を無理やりまとめると(^_^;)
予算総額324億円 のプロジェクトだそうです。
日本の人口1.276億人で割れば、254円/人。ワンコイン以下でプロジェクトの成果が
出れば高くない、いや安いくらいだと思うのですが?
************** 海底地形図について ****************
1、 作成した海底地形図は、私が趣味で作ったものです。データの解釈間違い
や計算ミスなどで、海底地形図のデータが正しいものとは限りません。
そのことを理解した上でご覧ください。
2、 作成した図の垂直:水平比(水深)は実際よりかなり誇張されています。
そのため、斜面の勾配が急に見えても、実際はもっとなだらかです。
水深・標高は、等深線・等高線カラーチャートを参照ください。
3、 作成した海底地形図に使用した地形データ。
海域:
「日本海洋データセンター(JODC)」で公開している、
「日本周辺の500mメッシュ海底地形データ(J-EGG500)」を使わせて頂きました。
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