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2013年8月29日 (木)

津軽海峡 3D・海底地形図 (シリーズ18)

                                          (海底地形図の一覧)

 初めは、ダイビングが中止の時のブログネタとして作り始めた「3D・海底地形図」。
でも、今ではダイビングの有無に関係なく書くようになり、すっかりはまってしまいました 

 

 今回は、津軽海峡です。    津軽海峡~ 冬景色~  

ダイビング関係で見てみたかった地域の海底地形図が一段落したので、今回からは
津軽海峡から始めて日本列島沿岸を順に、海底地形図を作っていく予定です。
(海底地形図が何枚になるんだろう? これから地域割りを考えます 

 

1、津軽海峡の、3D・海底地形図

   津軽海峡 3D・海底地形図(広域)(図1)
      3D立体写真・交差法 (左クリックで拡大)

01_tugarukaikyou_3d


   津軽海峡 西部 3D・海底地形図 (図2)
     3D立体写真・交差法 (左クリックで拡大)

02_tugarukaikyou_nisi_3d


   津軽海峡 頭部 3D・海底地形図 (図3)
     3D立体写真・交差法 (左クリックで拡大)

03_tugarukaikyou_higasi_3d


   ※ 津軽海峡をもっと知りたい方はこちらが参考になります

      海峡形成史(1) 大嶋和雄
      https://www.gsj.jp/data/chishitsunews/76_10_02.pdf

 

 

 

2、青函トンネルのルート

   青函トンネルは、津軽海峡の一番浅い鞍状になっている部分の下を通っています。
  よく掘ったもんですね!
  掘った土はどうしたんでしょうか?

 

 

   青函トンネルのルート 3D・海底地形図 (図4)
     3D立体写真・交差法 (左クリックで拡大)

04_seikantonneru


    ※ 海峡形成史(1)に載っていた海底地形の名前を入れてみました。

 

    青函トンネルのルート・断面図  (図4a)  (左クリックで拡大)

      津軽海峡を南から見た断面図です。
     鞍部地形で高くなった所の真下(赤丸部分 海抜 -240m)を通っています。

04a2_seikantonneru

 

 

 

 

3、津軽海峡の海面低下シミュレーション

    津軽海峡は、動植物の分布境界線の一つであるブラキストン線になっています。
   津軽海峡は、「最終氷期(約7万年~1万年前)の海面低下(最大で約130m)時でも、
   中央に大河のような水路部が残ったために、北海道と本州は陸続きにならず、動植
   物が海峡を渡ることが出来なくて両岸の生物相が異った」
   そうなので、シミュレーションしてみました。
   シベリアから渡ってきたマンモスが北海道から本州に渡れなかったのはこのためだ
   そうです。

   津軽海峡の海面低下シミュレーション(図5)  (左クリックで拡大)

05_tugarukaikyou_kaimenteika


    シミュレーションだと、海面低下-130mでほぼ塞がってしまいます?
   「大河のような水路」は残りません?
   もう少し中央部を拡大して見てみます。

 

 

   津軽海峡は海面低下何メートルで、北海道と本州が陸続きになるか?(図6)

      (左クリックで拡大)

06_tugarukaikyou_kaimenteika


    -130mだとギリギリで北海道と本州が繋がってしまいます。
    -125mで、幅約3Kmの水路部が残ります。この辺でしょうか?

   ※水深データは、JODCの500mメッシュ水深データを使用していますが、データ変換
    の誤差があるかもしれないので、出ている数値は「こんなもんかな?」ぐらいに見て
    下さい )

 

 

 

4、3D海底地形図の、垂直/水平比による凹凸の見え方。

   3D地形図を描写する場合、垂直/水平比を1:1にすると地形の凹凸が見えてきま
  せん。

  下図の例で見ると、東西139Kmに対して水深-250mの場合、等倍で書くと水深が
  0.18%にしかなりません。

  今、私のモニターでは、139Kmの長さが103mmになっています。等比だと-250mは
  -0.185mm にしかならないので、3Dで見ても平面にしか見えないでしょう。

   そのため立体感を出すために、垂直(水深)方向の倍率を上げて誇張する必要が
  あります。
  では、どのくらいの倍率の誇張が必要なのでしょうか?

   私の場合、「地形の特徴が解かる範囲で誇張は最小限に」 と考えるのですが
  見た目の派手さ! に行ってしまうことも・・・

 

   3D写真の場合、海底地形図と違って正確な形状に見えるように、水平/垂直比が
    1:1の必要があります。
    丸いダンゴウオが、細長い金魚になってはいけません。

 

 

   3D海底地形図(交差法)の、垂直/水平比による凹凸の見え方。(図7-1,2)
     3D立体写真・交差法 (左クリックで拡大)

07_tugarukaikyou_3d_bairitu


   上段の(図7-1)は、3D作図の最低倍率(5%)の、6.95倍 です。
   立体感がまるでありません。

   下段の(図7-2)は、278倍(高さパラメーターが200%時)は、「見た目にインパクトが
   あってちょうど良いぐらいの凹凸」です。
   田山海釜の西側(最大水深-436m)の窪みがハッキリ分かります。

 

 

    でも、「見た目にインパクトがあってちょうど良いぐらいの凹凸」 が曲者です。
   (図8)は、(図7)を南側から見た断面図です。

     水平/垂直比の倍率による見え方(図8)

08a_3d_bairitu_henka

 

    最大水深が-436m(500mメッシュ水深データ)もある田山海釜(西側)ですが、
   すり鉢状の海釜の斜面の勾配は、6.95倍の図より実際はもっとなだらかなのです。
   「見た目にちょうど良い」と作図者のさじ加減で書いた3D図が、見る人に誤解を与え
   ている可能性があります。
   278倍の図を見た人は、「田山海釜(西側)は垂直に近い勾配で深く掘られている」と
   間違った解釈をしてしまうかもしれません。

    ためしに、「日本海溝 画像」で検索してみてください。
   三陸沖から日本海溝に下る勾配が誇張され過ぎていて垂直に近いものがあります。
   おまけに水平/垂直比の説明や水深の凡例がないので見た方が
      「こんな断崖絶壁の日本海溝にプレートが沈み込んでいくのだから危ない」
   と勘違いしてもおかしくないです。
   「見た目にインパクトのある3D地形図」は誤解のもとですね!

    私のブログでは、「水深の凡例、下にある注意書き」 でなるべく誤解の無いように
   しているのですが・・・

 

**************  海底地形図について  ****************

  1、 作成した海底地形図は、私が趣味で作ったものです。データーの解釈間違い
     や計算ミスなどで、海底地形図のデーターが正しいものとは限りません。
     そのことを理解した上でご覧ください。
      

  2、 作成した図の垂直:水平比(水深)は実際よりかなり誇張されています。
     水深は、カラーチャートを参照ください。

  3、 作成した海底地形図に使用した地形データー。
      「日本海洋データセンター(JODC)」で公開している、「日本周辺海域の
     水深データを500mの間隔でメッシュ化したデータ」を使わせて頂きました。

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