コモンウミウシの触角のアップが撮れたので見ていたら?
コモンウミウシの触角は臭いを感じるセンサー。
リング状のヒダは、臭いセンサーの表面積を増やすための仕組みなのだと思うが、どのくらいの表面積なのだろうか?
なんて思ってしまったのが発端。
コモンウミウシの触角
(2011/10/09)
(左クリックで拡大)
このコモンウミウシの触角の大きさは、約 直径1mmx長さ4mm。
触角の構造は
リング状のヒダが重なっているが、リングは全円ではなく、半円が触角の前後の部分の張り出し部分で交互にずれながら接合されている。
まず、ヒダの枚数と直径などを、画像から測ります。
ヒダは上下の小さいのをカットして22枚。
各ヒダの直径を測り、ヒダの面積を求めます。
・左右交互のヒダを1組の円として計算
・ヒダは軸に対して少し傾いて楕円になっているが、簡略化して円として扱う
そこから、触角の芯棒の面積を引いて、各ヒダの片面の面積を計算。
(触角の芯棒は0.5mm一定と仮定)
そして求めたヒダの面積を4倍(ヒダ両面x触覚2本)して表面積を求めます。
結果は、写真のコモンウミウシの触角のヒダの面積は 56.7 ㎟ でした。
もし、触角が1φx4mmの単純な円柱状であったなら表面積は、26.7㎟。
触角をヒダ状に進化させることによって、2.12倍の表面積を得ていることになります。
ここまでは、実際に調べて分かった本当の事。
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ここから先は、更にわいた疑問への、私の勝手な想像です。
ヒダ状になっている利点として考えられるのは
1,同じスペースで、表面積が2倍。
単純にセンサー面積を増やして、感度を上げる。
2,ヒダ状にすると、臭い物質が絡みやすくなる。
ヒダの間の水路の幅が狭くなるので、流れる臭い物質とヒダの距離が近くなり
吸着率が上がる。
ヒダの間に沿って流れるため、接触長さ(時間)が大きくなり効率が上がる。
でも、どのくらいの濃さの臭いが分かるのだろう?
もしかしたらドーピング検査みたいに、プールに一滴の薬を入れたぐらいでも
分かったりして?
又、臭覚(臭いセンサー)を持っていると言うことは
良い臭い(餌、仲間)なら、近づく
悪い臭い(敵、毒物)なら、離れる
の行動をするために必要だから、有ると思うのです。
そのためには、臭いのする方向を判別出来なければなりません。
方向判別の仕組みを推測してみると
1,ウミウシは、「臭いの強度(濃い or 薄い)は分かるが、方向は判別できない」
と考えた場合
1)まずは直進。
2)良い臭いが強くなるなら、そのまま進む。(悪い臭いなら向きを変える)
3)良い臭いが弱くなるなら、方向を変える。(悪い臭いなら、そのまま進む)
4)これを繰り返せば、良い臭いの元にいつかはたどり着けます。
(悪い臭いなら逃げられます)
方向を変えるとき逆方向の可能性もあるので、サーチの効率は悪そうなのですが
生物は案外単純だったりするので、この案もありか?
2,ウミウシは、「臭いの方向を判別できる」 と考えた場合
1)ヒダは左右で分離している構造なので、左右のヒダが別々に臭いを判別でき、
左右の臭いの強度差で流れてくる方向の判別をしている(左右の指向性が有る)?
2)2本の触角の臭いを感じる時間差で、方向判別している?
(人が耳で聞く音の時間差で方向判別しているように)
3)ヒダは臭いの強弱しか分からないが、触角が水流でなびく方向がわかり、
臭いの流れてくる方向を判別している?
1),2)案は、左右は判別できても、前後は分からないので、進行方向による臭いの
強弱で、さらに判別が必要になる。
仲間の臭い物質(這った後の粘膜?)をトレースするならこれでOKだが、逆方向
にトレースしたらどうなるのでしょう?
3)案は360度判別出来るが、触角に流れの方向を判別するもう一つの
a)触角の根本に倒れる方向が分かるセンサー
b)又は、水流の流れてくる方向が分かる圧力センサー等
が必要になってくる。
いずれにしても、臭いが水流に乗って流れてきて初めて臭いを嗅ぐ?事になるので、流れが無いか臭いが弱いと、当てずっぽうに移動するのでしょうか?
この日、砂地を横断していた彼は、何を目標に進んでいたのでしょうか?
向こうの大陸(岩場)に仲間を感じたのでしょうか?
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いろいろと想像するが、本当のことは分からない。
こういうのをテーマに研究している人もいるのでしょうか?
1枚の写真から、勝手気ままに考えついたことでした。