今使っている自作・水中マクロレンズの倍率・性能を調べてみました。
(1眼の人が倍率の高いレンズをマクロレンズと呼ぶのでこの名前で覚えてしまったのですが、外付けのレンズの場合正しくはクローズアップレンズというのでしょうか?)
マクロレンズは虫眼鏡レンズ3枚重ね(2or3切り替え式)で、愛機SP-560UZ+水中ハウジングの前に被せて使用しています。
今回は、3枚重ね時50φレンズで蹴られが起きない最小倍率時と最大倍率時の結果です。
被写界深度の測定用にスケールを作ってみました。
被写界深度測定スケール
ダイソーで100x200mmの定規を買ってきて作ります。
斜めに30°傾けたスケールを上から写してピントの合う前後の位置を見ることが出来ます。30°に傾けてあるので前後方向の距離は1/2スケールになります。広いところは5mmマスの定規なので歪みが分かります。
撮影は、大きなクーラーBOXに水を張って、その中で行いました。水中ではレンズの焦点距離が約3倍に延びるので、空気中でテストしても意味がありません。ストロボは内蔵のみです。
今回の写真は、ことわりのない場合、無修正・トリミング無しで、リサイズのみ行っています。
①歪みと倍率(撮せる範囲)。
最小倍率
14mm(81mm)xF5.6
※括弧内は35mm換算
上下方向で約30mm
実際にウミウシなどを撮す場合、歪みは分かりません。
最大倍率
84mm(486mm)xF4.5
上下方向で約7mm
レンズの中心しか使ってないので歪みは小さい。しかし、色収差が大きい。(※色収差は③の色収差で詳しく。)
2mmのウミウシを撮すにはまだ倍率が足りません。4枚重ねに挑戦したのですが、手持ち撮影では、とほほの結果に終わりました。
最小倍率・10円玉
14mm(81mm)xF5.6
水道水を使うと、写している間に気泡が発生してレンズに付き、海で浮遊物越しに写しているみたいになってしまいました。
最大倍率・10円玉
84mm(486mm)xF4.5
コントラストがありませんし、周囲の色収差が顕著です。
上の写真をいつものように修正するとこうなります。
*この写真以外は、リサイズのみで、修正・トリミングはしていません。
②被写界深度
倍率を上げると被写界深度が浅くなるのは分かっていたのですが、数値的に知りたくなって今回のブログを書く動機となりました。マニュアルで絞りを絞ると多少深くなる効果はあるのですが、いかんせんコンデジなのでF8までしか絞れません。又絞ると弊害(ISO感度が上がって画質が落ちる。ピント合わせ時にも暗くなるので、ピントが合いづらくなる)が出るためあまり使えません。
最小倍率-F5.6
14mm(81mm)xF5.6
一番下のスケールが30°傾けた被写界深度測定用です。レンズ周辺の流れの方が大きくて、被写界深度に寄るボケがはっきり分かりません。
この写真では、前後方向±10mmの範囲で写っています。(中央の黒い点の位置でマス目の定規と同じ高さになっています)
最小倍率-F8
14mm(81mm)xF8
F5.6より、被写界深度が深くなっています。(両端の色収差が小さくなっているようです)
最大倍率-F4.5
84mm(486mm)xF4.5
ピントの合う前後の範囲が約1.5mmしかありません。
このカメラ(外付けのマクロレンズを含めて)は、どうやら赤(R)でピントが合うようです。(後記③色収差)
しかもピント位置より手前側にピントが合う傾向があるみたいです?
被写界深度が欲しいときはあまり倍率を上げずに写して、トリミングする方が無難な様です。
最大倍率-F8
84mm(486mm)xF8
F4.5に比べて被写界深度が2mmぐらいに深くなっています。
同時に色収差も改善しています。
明るい場所では、マニュアルでF8まで絞った方が良いみたいです。
でも、ピント合わせづらいし、ISOも上がるのでざらつくし・・・
③色収差
最大倍率時の色収差
84mm(486mm)xF4.5
傾けたスケール部分のみの写真をRGBの3色に分解してみると、このカメラシステムでは、赤(R)でピントが合うようです。赤のピントはほぼ中央にありますが、G(緑)・B(青)の順でピント位置が手前方向にずれています。これが軸上色収差です。
又R→G→Bの順で幅が広がっています。これが倍率色収差です。
倍率色収差だけなら、レタッチソフトで修正できますが、軸上色収差は像そのもののピントがずれているので、修正のしようがありません。
これ以上の画質を望むなら、一眼に行くしかありません。でもニコンの一眼に内蔵で倍率色収差補正機能があるらしいので、一眼のレンズでも色収差は完全では無いのか?
コンデジ+色消しのクローズアップレンズを使っても、被写界深度がそんなに深くならないし。
今写している写真は立体写真が主なので、マクロはこんなモンで良いか?と割り切り、まだ出来る改良もあるし(ハウジング越しのカメラ軸と3枚のレンズの中心合わせ、3枚のレンズの中心合わせ、平行度合わせ。でも良い方法が思いつかない。レンズホルダーも手作りなので機械精度も望めないし)、まだしばらくは楽しむネタがあるようです。
